朗読とは「話しことば」という、人間として最小限の伝達手段を使って、無限の世界を表現できる芸術です。
そこには道具はなく、舞台装置もいらない。
作家が本の中に創り出した、どこまでも深くて、果てしなく広い世界を、話しことばだけで表現してみましょう。
前回の基本編にひきつづき、今回は応用テクニック篇です。
朗読の技術<応用>
1.強調するということ
作品中にいっぱいあることばの中でも強調したいこと、強調しなくてもいいことの違いを出す必要があります。 なぜならすべてのことばを強調して読んでいたら、聴いている方は強調されることに慣れてきて聴きあきてしまいます。 強調するところと、強調しないところにメリハリをつけることで聴き手をあきさせず、伝えたいことをよりハッキリと伝えることができるのです。
では、「強調する」ためのテクニックにはどういうものがあるのでしょうか。 それを、文字で表現してみました。 文字のイメージ通りに「」内のセリフを声に出してよんでみてください。
「普通の声」
「大きな声」
「小さな声」
「遠 っくに呼びかける声 ! 」
「叫ぶ声っ」
この5種類に「喜」「怒」「哀」「楽」の気持ちを足すことで、20種類の表現ができることになります。
この表現方法ができるだけでかなり表現の幅が広がります。
2.意味音声(いみおんせい)とは何か
人間には本能的に、「耳に残る音声」というものがあります。 そのひとつが「他の音よりも一音高い音」。 高いというのは、「音程が高い音」ということです。 カラオケで歌うときの採点基準に出てくる凸凹表示をイメージしてください。 特に強調したい単語の部分を凸のイメージで音程を高く発声すること。 それが「意味音声」です。
1.の項目で紹介した、強調するときの声の大きさや距離感というものに、もう一つ加わるのが、音程の高低で表現する。 これが「意味音声」というものです。
これを表現力に加えることで、一行のなかでもかなり表現力が増えてきましたね。
3.「間」(ま)の表現方法
ことばを使って表現するときに、しばしば耳にする「間」とはなにか。 そしてそれを表現するための技術はどうするのか。
題材となる作品には、文章と句読点があります。 それを設計図や骨格として、肉付けしていくのが朗読をするアーティストの役割です。
しかし、「間」というものは題材となる文章には表現しきれるものではありません。 たとえば、「ここで2秒間をあける」などとは書けませんし、役作りをする読み手によってそれぞれの感性で変わるべきものです。 さらに会場の雰囲気によっても変わってゆくべきものなのです。
ただし、事前に演技プランをたてて現場にのぞまなくてはベースになるものがありませんのでブレやすくもなります。
そこで、わかりやすく「間」をとるための訓練方法ですが「、、、、、」という句読点の長さを時間としてとらえること。 たとえば「OK!」というセリフも「、、、OK」という間をとるだけで、「OK!」は即答でOKした印象でも、「、、、OK」では、、、を読む時間がある分、そこには間があり、それがOKを出すまでの葛藤を表現できることになるのです。
朗読の技術<まとめ>
ここまでで実践してみてもらいたいのは、表現方法を題材の文章だけで感じて表現するのではなく、その文章で強調したい部分を「大きい声=大きい文字」や、「さわやかなセリフ=青い文字」、「間を取りたいときには」「、、、、、、、、、」と、句読点で表現する。 というように、まずはビジュアルでとらえることで自分という楽器にわかりやすく表現の種類の指令が出せるようになるのではないかと思っています。
ぜひみなさんも、題材となる作品を読み込み、演技プランをたてるときには、ビジュアルで整理して表現してみる。 ということも試してみてください。
とにかく大事なのは、無数にある表現方法の中で、一番自分に合っている表現方法を見つけ出すこと。
これを見つけ出したときこそが、あなたにとっての本当のバージョンアップなのです。
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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