プロとしての目線でお話します。
いますよね。
「こいつ、使いづれぇーなぁー。」
って俳優。
いくつかのタイプがありますが、今回クローズアップするのは、こんな俳優です。
台本(シナリオ)を勝手に書き換えちゃうひと。
たとえばこんなエピソード。
ヒットメーカーであるシナリオライター、北川悦吏子(きたがわ えりこ)さんの新人時代のエピソードです。
主人公の女性が、「フラれるたびに『あんパン』をやけ食いする癖がある。」と書いていたにもかかわらず、演じる女優さんが「フラれたらフツーお酒でしょ!」と、勝手に変えてしまった。
放送を見て愕然とされたそうです。
ドラマのストーリーというものは、作家が計算しつくして作りあげた「フツーとのズレ」や「差」から展開が生れ、それが起承転結を作りだして、作品をより面白くしていくのです。
台本(シナリオ)とは、プロ作家の計算のもとにつくられた完成品の設計図です。
演じる出演俳優としては、台本上に「フツーとのズレ」があった場合には、まずはそのズレに理由付けや意味付けをして、役を造りあげるべきなのです。
ところが、エピソードほどの大胆な書き換えはありえないとしても、
「『自分ならこう描く』という強すぎる思いから」とか。
「自分が理解できないから」とか、
「自分が目立たないから」とか、
「技術的にムリだから」などという理由で、ドラマとしての設計図を無視して、自分のやりやすいように自分本位に台本(シナリオ)を変えてしまうような俳優から、
「ここ、変えていいですか。」などと、シレっと言われると、思っちゃうんです。
「こいつ、使いづれぇーなぁー。」
大切なのは切り替えとバランス
俳優にとって「演出目線」とは必要不可欠なものであり、持っていなければならないものです。
しかし、俳優自信の演出目線が出しゃばりすぎて、それが俳優の仕事の領域を上回り、黒澤明監督がおっしゃったところの「監督は二人要らない」という状況になってしまっては、問題がおこるだけなのです。
シナリオライターがいて、演出家がいる現場があり、そこに出演者として参加する以上、持ち場である演技者として、台本(シナリオ)通りの表現をこそ見せるべきなのです。
さらに一流をめざすならば、台本(シナリオ)通りに演じてみせたうえで、こんな表現はどうでしょう、と、プラスアルファとして提案する。
そういう手順で、お互いが高め合える現場こそが、筆者が体験した理想の現場なのです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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