俳優をめざすものならば、必ず一度や二度は聞くであろう、このキーワード。
「自然な演技をしてください。」
俳優として。 または何かを「演じる」者にとって。 時代をこえ、永遠の課題でありつづけるこのテーマ。
今回は「自然な演技」をするためのアドバイスをしてみます。
まずは、なぜ「自然な演技が必要か」というお話から。
ドラマというのは、ドキュメンタリーではありません。 演じる者は台本をもとに決められたセリフを演出の要望通りに演じる。 そして演じる役のほとんどが自分とは違う人格であり、さらには経験したこともない行動を、「スタート!」の合図に合わせて表現するという、とてもむずかしいことをしなければならないのです。
でも、そんな苦労の末に出来上がった作品は、見るものを「ドラマならでは」の魅力でストーリーに引き込みます。 そして登場人物たちの笑ったり、泣いたり、感動したり、成長したりする場面で「登場人物の気持ちに共鳴して、観ている人の心も動く」ということが、ドラマの価値であり、醍醐味です。
そこで、「見るものを、ストーリーに引き込むこと」を妨げるリアリティのない『不自然な演技』はジャマなのです。
そして「自然な演技」とは「リアリティのある演技」といえます。
”ここからが、「自然な演技をする」方法です。”
たとえば台本に「トイレにいきたい」と書いてあります。 すぐに思い描くのは、お腹をおさえて足をもじもじさせて、まゆをしかめる。 しかし現実(リアル)にトイレに行きたい人が、個室の前でそんな行動をとっているでしょうか?
そうとう限界にちかい場合でも、当然周りの視線を気にしますから、上記の「コントのような動き」をしている人はまず見かけませんよね。 これが現実であり、みんなの脳に記憶されている光景です。 自分にもおきかえて「トイレにいきたい」ときの行動を思い出してみるに、他人から見れば、ほぼあなたがそんなにトイレにいきたかったことはわからないはずです。 その普段の再現こそがリアルな演技なのです。
でも、そんな普段通りのリアルな行動で「トイレにいきたい」人を演じても、「トイレにいきたい」人に見えないのではないか? という疑問が浮かびますよね。
ご安心ください。 ちゃんと台本には前後の行動で「なぜあなたがいつもより急ぎ足だったか」わかるようになっています。 ちゃんと装置(セット)や、共演者のセリフで「なぜあなたが普段より無口だったのか」わかるようになっています。 なぜならその物語には「あなたがトイレにいきたい」人である必要性が、あるからなのです。
では次に「トイレにいきたさ」の切迫度の違いの演じわけについて。 これも自分ならどういう違いがでているかを、思い出してください。 一番大きな違いは、もちろん精神状態です。 それほどでもない時点では、すれ違った人の「持ってるカバンいいな。」と思ったり、「・・・次の電車は何分発だう?」と思ったり。トイレにいきたいという「本題以外のことが、どれくらい脳を占めているか。」 が変わってきますよね。
これがポイントです!
「本題以外の思い」を常に入れ、割合を調整すること。
これが私の考える「自然な演技をする」ための技術です。
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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[…] がコメディならば、「驚いても自分のギャグをする」のがコントです。コメディにはナチュラルな演技がベースになりますが、コントの領域は、弁当の外。「演技の領域」の外になりま […]
[…] れば「自然な演技」とよばれるリアリティのある演技がさらに求められることになります。 […]