「歌」(うた)
とは、音と言葉です。
「音」(おと)とは。
たとえば、水流の中で泡がブクブクするジャグジーのような「音」は、お母さんの胎内にいたときの音に近いので心が休まるそうです。
この世に生まれ出てからも、夜の静寂の中から聞こえてくる敵(野獣)の声や、闇が明けたときの草の音や鳥の鳴声。パートナーの明るい声や足音。
人は「音」からいろんなことを感じ取り生きてきました。
そして音楽の曲調(メロディーライン)というものには、メジャーコード(明るい曲調)とマイナーコード(暗い曲調)というものがあります。この曲調は全世界(人類)共通なのです。たとえ言語や生活習慣が違ってもメロディーラインだけで、「明るいか暗いかを共通に感じ」られるのが「音」なのです。
「言葉」(ことば)とは。
脳や喉(のど)の仕組みが発達したことで誕生したといわれる、人の「言葉」。
それぞれの国や土地で進化させてきた「言葉」というものは、「音」とともに人にとってかなり影響力があります。
「他人が発する言葉」によって、人はときに傷つき、ときに怒り、ときに喜びます。
礼拝堂での祈りの言葉に癒されたり、祈祷での呪文に恍惚状態になったりします。
それだけ影響力のある「音」と「言葉」を使って表現する芸術(アート)が「歌」です。
では、今の技術であればビッグデータをもとにして、人が「感動するといわれる周波数」を使って、正確な音階を駆使するボーカロイドで「歌」を造れば必ずヒット曲が生まれるという理屈があるはずです。
でも、無限といえるほど生まれ出る歌の中でも自分にとって本当に「心がふるえた歌」といえるのは、限られているものです。
そこで、歌によって心がふるえるか、ふるえないかはどこに違いがどこにあるのかを考えてみました。
冒頭では、歌とは「音」と「言葉」です。
と、書きましたが「心ふるえる歌」にはあと二つ必ずそなわっているものがあります。
ひとつめは、
「ストーリー」です
たとえ歌詞が「今、この瞬間」の心境や状況だけを歌っていたとしても、そこにたどりつくまでの物語(ストーリー)が必ず見えるはずです。
そしてその歌を聴く者はその物語(ストーリー)を「今の自分」や「あの時の自分」にかさね合わせて、マッチしたときこそ共鳴し「心ふるえる」のです。
もうひとつめは、
「歌手が命をけずって歌う」こと
歌手自身が、その歌の世界観やストーリーを理解せず、ただただ音程の正確さや技術力の高さといった「上手さだけ」を見せつけられても、そこには「感心」はあっても「感動」は生れません。
「命をけずって歌うこと」すなわち「歌手が心ふるわせて歌っていること」こそが聴いているものの心をふるわせることになるのです。
歌手を目指しながらも、歌詞カードを見ながらテクニックだけで歌っていませんか。
その曲の主人公の気持ちになって、心が本当に動いていますか。
その曲を歌い終わったあと、ヘトヘトになるくらいエネルギーを使っていますか。
その壁を超えたときこそ、聴いているものの「心ふるわせる歌」が誕生するときなのです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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