芸能人が政治的発信をするときに気をつけること

#検察庁法改正案に抗議します

このところ「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ付きツイートなど、芸能人の方の政治的発信投稿が話題になっていますね。

これら話題の法案の是非については、これをお読みの皆さんにも、それぞれ思うところがあると思います。ただ、このブログでは「法案の内容の是非」というのはテーマが違うので、この記事で賛成も反対もしません。

このブログは芸能人側の視点がテーマなので、今回は芸能人やアーティストにとって、政治的発信がどんな影響をおよぼすのか。ということについて綴ってみたいと思います。

題して、

芸能人が政治的発信をするときに気をつけること

 

まずは「#検察庁法改正案に抗議します」ハッシュタグ付きツイートの話題についてご存じない方に、ごく簡単に流れを説明しますね。

その1「検察庁法改正案とは何か」

「国会」というのは「立法」するための場所。つまり議員の誰かが『こんな法律を作ろうと思うけど、どうよ?』と提案したものを、国会議員の方たちで話し合って決めます。

その法律案の一つとして出たのが「国家公務員法等の一部を改正する法律案」というもの。この中にはいっぱい法案があるのですが、かなりざっくりいえば、役所などに勤める「公務員」さんの定年を、『これまでの60歳から65歳まで伸ばしませんか?平均寿命も伸びまくってるし?』というもの。<※2年後(2022年)から2年ごとに1歳づつ段々伸ばして、10年後に65歳定年にするという案>

そして、たとえ定年になっても『その時抱えてる仕事が、むちゃくちゃ大変で「今、辞められたら困っちゃう」という場合には、最長3年のばせるよ。』(つまり最長68歳)ともなっています。

その法案の中の一つで、現在は63歳が定年の『検察官』も、同じ国家公務員だから、同じにしよう。というのが、「検察庁法改正案」です。

法案閲覧用アドレスも掲載します。

<がっつり全文>http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18605001.htm

<サクッと抜き出し>http://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou1.pdf


その2「よく出るキーワード」

法案だけ見ても「文字化けにしか見えません」ってぐらいワケわかりませんよね。ひとまず正確な情報を知ることで、ご自分の判断の土台にしてみましょう。

まずは、この頃よく見るキーワード「三権分立(さんけんぶんりつ)」という、システム。

三権とは、

① 司法 <裁判官、裁判所など>

② 立法 <国会、法律の決定・改正など>

③ 行政 <内閣、○○省、役所など>

の三つです。

この三つの内、どこか一つでも力が大きくなり過ぎて、

ジャイアンのように

横暴になっちゃうと困りますね。

そこで、『それぞれお互い暴走しないように独立して、見張ったり、叱ったりできるようにしとこうね』というシステムが、三権分立。そして、話題の検察官というのはどこのカテゴリーかというと、③ 行政です。なので、検察官の中の一番エラい人の任命権(誰にするか決める)は内閣(総理大臣や、他のなんちゃら大臣)が持ってます。昔から。


じゃあ「検察官って何する人なの?」という疑問ついて。

悪い事するとドラマみたく刑事さん(警察)に捕まって、いろいろ調べられちゃいますよね?

ほんで、取り調べを受けて、刑事さん(警察官)から『こりゃお仕置きせなあかん!』と思われた場合、そこまでの捜査(証拠や証言)を引き継いで、「裁判するかどうかを判断するのが検察官」(警察官ではない)、そんで、裁判で弁護士さんに対して『ゆうても、こんなことしちゃったらお仕置きしなきゃダメでしょ?』と言い続けるのがお仕事です。


その3「何が問題なの?」

この件は、いろんな方々が、いろんな目線で、いろんな立場から、考えを発信されてますので「いつ」「どんな人が」「何を発信」しているのかを、背景や情報の正確さを見きわめて、自分で判断することが大事ですが、一応、参考までに代表的な二つの意見を、あげてみました。

<「#検察庁法改正案に抗議します」ハッシュタグ付きツイートを送信した人>

・裁判するかどうかの決定権を持つほどスゴい、検察官の任期(定年年齢)を伸ばすことができるようになれば、辞めたくない検察の人が、内閣(総理大臣や、他のなんちゃら大臣)の顔色をうかがって、ゴマすりすりするようになるので、三権分立じゃなくっちゃう。

<「検察庁法改正案」別にどっちでもいい人>

・検察官はそもそも内閣(行政)の人だし、人事(誰にするか)決めるのも前から内閣だし、問題はそこじゃないでしょ。逆に司法の見張りは、国民審査(投票式の裁判官審査)しかないから、ちょっとは影響力ある方がいいよね。イヤなら決めた大臣に投票しなきゃいんだし。

・・・うーん。どちらも一理ありますね。

 

ではでは、予備知識を入れたところで、本題に入ります。


その4「芸能人が発信するということ」

まず、あたりまえの事実として、

芸能人であれ、誰であれ、

なにを発信しようとも自由です。

どんな考え方しようとも自由です。

その通りなんです。自由なんです。

「自由には責任を伴う」なんて正論を押しつける気もありませんし、ましてや自分でムチャクチャ勉強して『思ったこと発信したい!』と思えば、発信するのは自由なのです。

 

ただし、ここでの注意点は、発信先がSNSであれ、ライブ映像であれ、インタビューであれ、発信した内容の一部分だけ切り取られて「一人歩き」どころか暴走しだして、まったく自分の思いとは違うイメージになって拡散してしまうのもよくあること。

これは本人やほかの誰かが、意図しようがしまいが、しばしば起きることなのです。そして、いったん間違ったイメージがつくと、それを変えていくのはかなり大変なことです。

とくに、政治的発信というのは、スキャンダルや犯罪行為と同じくらい、注目を集めやすく影響力や拡散力が強い。その分だけ利用されやすく、間違ったイメージの暴走が起きやすいのです。

芸能人というのは、本人自身が商品の製造者であり、セールスマンであり、商品そのものである以上、スキャンダラスな話題は、マイナスになることが多いものです。

たとえば、芸能界には「競合(きょうごう)」という概念があります。

「競合」というのは、芸能人がある商品のテレビCMに出てるとき、似たような商品の他会社のCMに同時期に出ると「どっちの推しやねん!」という倫理的な問題が出るのです。他には「二股報道」や「不倫報道」をされたときなどのダメージが相当なものであるのはイメージしやすいですよね。

じつは意外と、政治的な発信というのは、それと同じくらい重かったりするのが現実なのです。

「きのこ派」か

「たけのこ派」か

を、宣言するどころの話ではない。

 

 まとめますね。

誤解を受けることを前提に発信する覚悟がいる分野であることを認識すべし。

セルフプロデュースをするうえで、イメージに影響が出ることを認識すべし。

 

そして最後に。

発信してから、自分の想いが変わってしまった場合はどうするか?(抗議するにしても、そうでないにしてもです)

やることは、シンプルにひとつだけ。

素直(すなお)に訂正し、考えが変わったことを発信し続けましょう。

ファンにとって素直な行動こそが、好感度と信頼度を感じさせるものなのですから。

 

お読みいただきまして、ありがとうございました。

たちばなしんたろう