役者|演技が下手と思われないために|「演技は空気」という話

役者になるには

へたな演技をあらわす言葉の一つに「クサい演技」というものがあります。

これは、必要以上に大げさな演技を、匂い(におい)や、空気にたとえた言葉ですね。

では、クサい演技=下手ならば、上手い演技とはどんな香りなのでしょうか。

「空気が美味い」という言葉があります。

都会の雑踏から離れた、森林などで感じられるアレです。

では、美味い空気とはどんな匂いなのでしょうか。

どう思い出しても、美味い空気には「匂い」はありません。

これは、演技も同じ。実は、演技というのは、上手ければ上手いほど、いったん無臭に近づきます。

演技という芸術は、うまければうまいほど自然なので、見ているお客様からは、「演じている役者」自体は見えなくなるものです。

上手い役者は、台本にもとづいたストーリーの中で、その役として生きぬいているため、「役者として上手く演じている」のではなく、「その役の人物が存在している」のであり、「その役の人として反応している」だけなのです。

なので、見ている側としては、ともすると上手い役者が演じる、あまりに自然に見える演技は「演技をしていないのだから誰でもできる」と思いがちです。しかし自分が、セリフを与えられて、カメラで動画撮影をされながら、他人に見られながら「演技をする」ということをやってみたとたんに、なんとぎこちなく、必要以上にオーバーな演技をしてしまうことか。そこではじめて「自然な演技のむずかしさ」に気づくのです。

一見、華やかでドラマティックな表舞台に立つ役者も、うまければうまいほど、役者の存在が消えてゆく。

役者の仕事とは、究極の裏方なのかもしれませんね。




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