リーディング公演
というものをご存じでしょうか。
通常の演劇の公演と一番違うところは、俳優が台本を手にした状態で演劇を進めていく公演形式というスタイルです。
ただし、台本を読むスタイルとなっているのは、あくまで形式で、出演俳優は完全に「台本」や「セリフ」や「役」を自分のものにしていて、稽古の初期段階での「読み合わせ」とはまったく違うものです。
また、俳優は「役」として演じ、演出方法によっては、立ち上がり、動き、台本を持たずに演じる場合すらありますので、身体表現をせずに小説などを読み上げる「朗読」とも違うものなのです。
リーディング公演のはじまり
もともとは海外の劇場で、次の公演作品を決めるために、俳優がお客様を前にして台本を持ちながら演技をしたのち、ディスカッション(話し合い)をして、次の公演作品を決める。そのために上演するのが「リーディング公演」のはじまりです。
国内(日本)では「リーディング公演とは何か」についての定義や解釈(かいしゃく)に対しては、いろんな考えがあり、表現の方法や、上演目的もさまざまで、もちろん「リーディング公演」そのものを本公演とする上演も増えつつあります。
そこで今回のブログテーマは、この「リーディング公演」という形式のメリットを考えて、新しい演劇ジャンルとしてとらえ、演劇ファンを増やすことにつなげることができれば良いのではないか。という考えのもとに綴ってみました。
リーディング公演のメリット
1>大きな会場やセット、照明などを使わずにできるため、制作費用があまりかかりません。その分、チケット代も安くすることができて、お客様にも来ていただきやすくすることができる。
2>客席との距離を近くすることができるため、観客にとってはカットや編集なしのテレビドラマの世界にいるような、より繊細な演技をみてもらうことができる。
3>会場自体を、セットそのものとして使うことができるので、空間を共有することに、より臨場感を出せる。
4>「会場の広さや、使える道具が限られる」「台本を手にした状態での演技」などの約束や制約があることを逆手にとった、アイディアやこだわりを持った演出をすることができる。
5>比較的新しい試しみなので、話題になりえる。
リーディング公演のデメリット
1>キャパ(客席数)が少ないので、ひと公演での利益が少なめ。
2>客席との距離が近いので、メイクの効果はあまり期待できない。
3>上演できる場所選びは、てさぐり状態から始めなくてはならない。
4>ほぼ素舞台なので、演出と演技に、それなりのアイディアと技量がなければ、ただのショボい公演になってしまう。
5>品質と独自の味わい勝負の小規模公演なので、激戦地区で行列ができるお店をつくるがごとく、鍛錬と精進が必要である。
リーディング公演の可能性
ここまでご覧いただきました「リーディング公演」という形式は、限られた条件でありながら、だからこそ、どれだけそこにアイディアと技術を駆使して「観客をよろこばせることができるか」と思えるアーティストにとっては、やりがいと無限の可能性を秘めた公演形式です。
そして、これまで「演劇」というアートに距離感をもっていた方にも、気軽に観に行ける「演劇」という新たなるジャンルとして、演劇ファンの幅を広げることにつながるのではないかと思っています。
「演劇」の前を、素通りしていったお客様をふり向かせてみたくはありませんか。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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