これからの演劇について|<その1>ドラマが生き残る理由(わけ)

これからの演劇について

芸能人や演劇人にとって、こんな時代がくるとは予想もしませんでしたね…。

お客様を前にしての劇場でのライブ公演ができなくなるなんて。

でも。大丈夫。

演劇のテーマが人間ドラマである限り、絶対に演劇や演技の必要性がなくなることはありません!(断言)

なぜそんなこと言えるの?…と思ったあなたのために、今回のブログでは「なぜ人間ドラマには不変の人気があるのか」ということを綴りたいと思います。


「ドラマが生き残る理由」

子供のころを思い出してください。

親から読んでもらった昔話や、おとぎばなし。

赤ちゃんのころ買ってもらって、読んでいたであろう古い絵本。

まだ、もの心すらつかない年齢であっても、人の脳は「物語」に興味を持つものです。

これは人間という、言語能力を身に付けた生き物が、生き残るために備えられた「危険を察知して対処方法を備える」という防衛本能に由来しています。

自分以外の誰かが経験した「危機に直面した物語を聞く」ことによって「自分がその危機に直面した時の対処方法を備えたい」という危機管理能力は、氷河期到来の危険や野獣に襲われることがない現代でも、人類に受け継がれたDNAが本能的に他人のトラブルを見守り、

「自分が巻き込まれたらどうしよう…。」

「ドラマの中のあの人ならどういう行動にでるんだろう…?」

「こんな状況になったら自分はどうするのかな?!」

「このあとはどうなるの!!」

という思いが、同期の人事や他人の恋の行方に対して、興味と好奇心を呼び起こすのです。これこそが、見ている人が人間ドラマという「物語」に引き込まれるメカニズムなのです。

この本能が人間に受け継がれている限り、スポンサーからの支援がYouTuberに移ったり、舞台での表現ができなくなったりしたとしても、人間ドラマという「物語を紡ぐ芸術」への需要がなくなることはないのです。

その証拠に、テレビ番組欄を見ると、バラエティやクイズ番組よりも「撮影するには手間と時間と予算がかかるドラマ」が、消え去った時代はありませんし、現在も安定した視聴率を保ちつづけて、視聴者の方に支持されていることがわかりますよね。


見る人を惹きつけ、心に響かせる「物語」とは

ここまでをふまえると、演劇人としては「物語」を表現できることが生き残ることの条件のひとつとも言えますね。

でも、一見複雑で難しそうな「物語を紡ぐ」という作品製作も、今回のブログテーマである「人はなぜ物語に惹かれるのか」という本能的メカニズムをふまえていれば、いたってシンプルです。

【主人公が】

【どんな困難に遭い】

【どう克服して】

【どう変わったのか】

これが「物語の不変のテーマ」であり、その物語を目撃してもらえる表現方法をもった、演劇人の存在価値なのです。


さいごに

演劇人にとっては、激動の時代となりました。

でも、知恵を絞って生き抜いた、先人の芸術家たちのDNAを受け継いだ私たちこそ、世界が閉塞感や抑圧を感じる時代を芸術でしか表現できない「明るい光」で照らしたいですね。

こんな時代(とき)こそ芸術です。

ご覧いただきましてありがとうございました。

talent27.com

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